Technical Reports


技 術 報 告

乾燥こんにゃくの技術
(1)乾燥変性の防止
(2)吸水率の向上
(3)適切な乾燥
(4)製造工程
(5)乾燥こんにゃくの特徴 

一覧

■乾燥こんにゃくの技術

粉末状〈アイレス〉

糸コン状〈アイレス

粒状〈アイレス〉

グラニュー状〈アイレス〉

(1)乾燥変性の防止

こんにゃくを単に乾燥すると著しく収縮して乾涸びた状態になり、水に浸潰しても復元することはなく、乾燥により不可逆的な変性が起きてしまいます。
こんにゃくはグルコマンナンが網目状に架橋すると同時に多量の水が水和により包含されゲル化していると考えられます。従って、このゲルを乾燥により脱水するとグルコマンナンと水との水和がなくなり、グルコマンナンの変性が進み、水戻しができなくなると考えられます。
乾燥こんにゃくでは糖水溶液にこんにゃくを浸漬させ、ゲル内の水の一部を糖に交換することでこうした乾燥時の不可逆的な変性を防止しています。乾燥後、水戻しにより一般のこんにゃくと全く差が見られないまでに復元します。

(2)吸水率の向上

糖の含浸による乾燥だけでは水戻し時の膨潤が不充分であり、吸水率を高め充分な膨潤が進むようにする必要があります。これには澱粉の添加が効果的です。
乾燥時のこんにゃくの重量を1とし、水戻しの場合の戻し後の重量を吸水率として図-1に示しました。
澱粉の添加濃度を高めるにつれ吸水率は向上する傾向がみられますが、添加濃度の増加につれこんにゃく特有のテクスチャーが失われるため、二つの観点から添加濃度を選定する必要があります。
なお現在の乾燥こんにゃく〈アイレス〉の澱粉添加濃度は4%です。

図-1 澱粉の吸水率にあたえる効果

(3)適切な乾燥

乾燥こんにゃくはその残存水分により、品質が大きく左右される。 図-2にその特性を図示しました。

図-2 乾燥こんにゃくの水分と品質特性

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乾燥こんにゃくは水分が多いと柔らかくなる傾向があり、流通過程での衝撃による割れの危険が少なくなるものの当然ながら過度の水分は腐敗の問題を引き起こす危険があります。
そこで乾燥工程での水分調整はこうした乾燥しらたきの特性を充分考慮して行う必要があります。
また、このように水分により品質が大きく左右されることから、最終包装形態は外部の湿度環境の影響を受けないように考慮する必要があります。

乾燥こんにゃくは水分30%程度からその硬さを増し、10%以下では硬化が極度に進み割れやすくなる傾向にあります。
一般に水分活性0.7以下になると通常の微生物は生育できなくなり、腐敗を防止するためには水分はこれ以下にする必要があります。図-3に乾燥こんにゃくの水分と水分活性についてその一例を示しました。糖が含まれるため水分16%で水分活性0.7%以下になり、水分の上限はこの程度であるといえます。
現在の乾燥こんにゃく〈アイレス〉の場合、糸こんタイプが12%、粒・粉末タイプは7%程度に水分調整されています。

図-3 乾燥こんにゃくの水分と水分活性 

(4)製造工程

乾燥こんにゃくの一連の製造工程を図-4に示しました。吸水率を高めるように澱粉を加えたこんにゃく粉を十分に膨潤させます。
 次に石灰水を混合しながら熱水中に押し出します。これによりこんにゃくゾルはゲル化します。乾燥こんにゃくは一般のこんにゃくのように防腐のためアルカリ性にする必要はないので、十分にゲル化が進んだ時点で酸により中和し、続いて糖液に浸潰し、乾燥、包装して製品となります。

図-4 乾燥こんにゃくの製造工程

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(5)乾燥こんにゃくの特徴

こうして生産された乾燥こんにゃくは以下の特徴を持っています。

1.軽   量

水戻し後は2.5倍の重量まで膨潤することから、乾燥時の重量は1/2.5で済 み、輸送、持ち運びが軽く便利です。

2.長期常温保存

いわゆる「乾物」と同様、室温で二年間保存できます。
また、必要な量だけ使い分けすることもできます。

3.アク抜き不要

アルカリを中和したのち乾燥してあるので、こんにゃく特有のアルカリ臭がなく、水戻ししてすぐに使用できます。鍋料理などには乾燥状態のまま入れることもできます。

4.早い味しみ

乾燥時にこんにゃくの組織が微細な多孔質になっているため、味しみが急速に進みます。






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